ホームヘルパー跳びある記・5
‘老い’に歪むパーソナリティ
松田 万知代
pp.997
発行日 1978年9月1日
Published Date 1978/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661918501
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私たちホームヘルパーが仕事の辛さを語るとき,ほとんどの人が派遣先の不潔な状態や労働のきつさをではなく,しばしば遭遇する老人たちの歪んだパーソナリティを挙げます.その老人たちの不幸な人生が,苦労がそうさせるのだと理解しながらも,そのあまりのやりきれなさを語るのです.しかし,ヘルパーはその仕事を社会的にも,行政による公的サービスという枠の中でもなかなか理解されないまま,老人たちが自分の訪問を待っていてくれるのを心のよりどころとして,訪問活動を続けているのです.老残の人が持っている醜い性格は,幼時からの生活環境によるものだそうですが,老いてますます歪みが強まってきたと思われる老人たちが多い.
私たちホームヘルパーの仕事の本質は,対象の基本的欲求に基づく日常生活への援助である.しかし,ただ単に基本的欲求ということだけにとらわれて援助活動をすれば,ますますやりきれなさの中で,問題解決への方向づけもないまま,老人を威圧的・抑制的にとらえてしまうことになります.
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