ベッドサイドの看護
Kちゃんが泣いた—頭蓋内出血を伴って生まれた新生児と家族への接近
林 泰子
1
,
川口 スキ
1
1社会保険佐賀病院未熟児センター
pp.1240-1244
発行日 1977年12月1日
Published Date 1977/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661918278
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はじめに
頭蓋内出血を伴って出生した児の保育には,看護上でもいろいろ問題があるが,出産した母親および父親にとってはたいへんなショックである.特に児の異常を見て,必ずしも生存を願わない家族が介入すると,両親の苦しみは倍加する.このような場合ナースは,母・父・児の間でどういう姿勢でいたらいいのか迷うことがある.
Kちゃんの場合は,カンファレンスを重ね,母親の苦しみを援助し,Kちゃんに近づかせたいといろいろ試みたが,固く閉ざした心をなかなか開いてくれなかった.家族の心配はKちゃんが‘泣かない’ということに集まっていることをみつけ,スタッフ一同が家族と一緒に泣き声を待っていたある日,Kちゃんは突然泣いた.その泣き声を電話で家族に送った.その時から父親と母親が養育の希望をみせるようになり,退院の日を待つようになった.
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