特集 管理から看護へ
看護婦自身のヒト感覚の回復を
佐藤 登美
1
1三楽病院
pp.15-19
発行日 1977年1月1日
Published Date 1977/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661918053
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Ⅰ.はじめに
日ごろのベッドサイドでの仕事感覚の中で,看護の‘人のする,人への働きかけ’という基本的な条件を忘れているわけではないが,現実的にはその条件を満たすような活動を組みたてることは,とても難しい,そして,その難しさを,私たち臨床に携わる者は,今までのところ病院という機構組織やベッドサイドにあふれかえっている未分化的雑用のせいにしたり,時間的制約を理由に,(そうはできなかった)者の後ろめたさをどこか奥深いところに隠して,それらについて自ら追求するようなことは少なかった.
同じように,昨今では‘看護’の理論化や学問としての体系化について,いろいろうんぬんされているのだが,そうした理論や主張のうち,現実的なベッドサイドにとって明らかに説得力をもたないと思われるものや,時には理論のはなはだしく臨床離れした感覚になかばあきれていても,なおその本音を言うことはさし控えているようなところがある.少なくとも臨床にある者なら,理論的予測や象徴的表現でとらえた看護の内容が,現実的な運用の段階で,‘そうはうまくいかない’ことについては,骨身にしみて知っているはずである.
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