‘私’と‘あなた’の対話・6
‘あなたのため’と‘私のため’
上野 矗
1
1大阪教育大学養護教員教室
pp.961-964
発行日 1976年9月1日
Published Date 1976/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661917976
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患者さんとの治療面接(カウンセリング)にあたっているとき,この行為は,看護のそれと同じく,患者さん(あなた)のためという意識が私に働くことがある.自分がする行為が‘あなたのため’といわれ,意識するとき,自分も周囲の人も納得し,満足でき,承認を得られるような気がする.ところが,それが‘私のため’といわれ,意識するとき,恥ずかしい,だめだ,許されないといった感じにとらわれ,周囲からもそう評価されるような気がする.だから,‘私のため’を表明することにはとくに躊躇(ちゅうちょ)する.
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