特集 患者にとって‘夜’とは何か
夜勤で知った看護の喜び—沈黙を通して知る心の触れ合い
落合 よし子
1
1国立療養所多磨全生園
pp.33-36
発行日 1976年1月1日
Published Date 1976/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661917787
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はじめに
高等看護学院を卒業し,晴れて臨床の場に巣立つ日‘どんな高次元のケアよりも患者は,排泄・睡眠・食事などの基本的なケアを渇望していることを絶対に忘れまい.例え技術的には優れなくても,排泄の世話をするときだけは笑顔で接することを,自己の看護の原点にしよう’と心に誓った.あれから1年半過ぎた今,振り返ってみて,あのときの決心を常に維持してきたかといえば,否定しなければならない.
私の勤務する内科病棟は,患者の平均年齢が78歳という高齢者の多いせいもあって,排泄の世話は想像以上に,1日の看護の大きな割合を占めている.昼夜の区別なく,排便介助を要求するブザーに‘私は,便器と尿器を持つために,ここで働いているのだろうか’と自問自答することも度々であった.
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