コーヒーブレイク
沈黙は金か―喋らない医者
板野 聡
1
1寺田病院外科
pp.1461
発行日 2008年10月20日
Published Date 2008/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407102308
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私は,どちらかというとよく喋る医者のようです.「ようです」というのは,医者になって以来,自分で意識したことはありませんでしたし,患者さんを前にすると自然にそうなっているので自分ではわからないということです.それに,ほかの先生方と比べてみても詮無きことには違いないでしょう.ただ,「それだけ喋ると疲れるでしょう」とからかい気味に言われたこともありましたし,最近では「あんなに必死に喋らなくても」と言われたこともあり,時には確かに熱くなっている自分に気づき,「やっぱりそうか」と自覚することにはなります.いずれにせよ,詰まるところ自分の性分ですから,これからも今まで通りで仕方ないと諦めてはいます.
それではほかの先生方はどうか,と周りを見渡すと,勤務医の先生方やご開業の先生方,あるいは若い頃勤めた病院での先輩方で,確かに喋らない(静かな?)先生方が何人かはおられることに気が付きます.それにしても,よく考えてみると,喋らないで患者さんを集め,そのうえ,きちんと間違いなく診療を行うとなると,よほどの名医でいらっしゃるのだろうと感心させられることになります.ただし,なかには「説明がよくわからなかった」とか,はじめから「聞いてもだめなので」と患者さんに割り切られた通院をされているという噂も聞こえてはきますので,名医ばかりではなさそうで,よく喋る医者としてはちょっとだけ安心することにもなっています.
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