ドクトル巷談
フトンの偉力
広瀬 正義
pp.57
発行日 1969年6月1日
Published Date 1969/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661917623
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インフルエンザが流行していた時のことである。ほとんど連日,母親にだっこして来院していた赤ん坊がある。その子ははじめは軽い気管支炎を起こしていた。しかし,まもなく全治してもいい時期になったある目,私は突然その子の様子がおかしい,ヒキツケそうだというので往診を求められた。
前日までの状態では,おかしくなどなるはずはなかったのだし,それに,ちょうどその時は午前中で,診療所の待合室は他の患者さんが数人待っていたし,そのうえ,それはすぐ近所の人だったから,私は,往診よりも連れてきた方が早く,そして十分な診療ができるというようなことを話してやっていた。
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