ドクトル巷談
こわかった白衣の思い出
広瀬 正義
pp.44
発行日 1969年5月1日
Published Date 1969/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661917590
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ずうっと前のことです。そのころ私はある結核療養所に勤めておりました。そこではどの病棟も,ひとつひとつが離れ離れに,林のなかに建っていました。
そしてそこの職員宿舎は,松や雑木の茂った林のなかにある細い私道のずっと先きの方にありました。療養所の玄関を出て,その小道をしばらく歩いてから,右へ曲がった林のなかに,まず看護婦宿舎があり,その小道を真直ぐにはるか彼方へ歩いた所に,医局員や男子職員の宿舎があったのです。
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