ママさんナース奮戦記・2
子どものために小休止しょう
山内 京子
1
1国立東京第二病院内科
pp.54-55
発行日 1969年5月1日
Published Date 1969/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661917593
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いまのところ手近に頼れる保育施設はないし,里親には共稼ぎの時代にずい分苦労をかけているし.病弱でいる母親にこれ以上迷惑をかけることはできない。看護という仕事に,ひとかたならぬ興味を培う一方で,私はこの職業を続けることを断念するつもりでいた。しかし,生活条件なんていつどこで,どんな風に変わるかわからぬものだ。もう駄目だと思ったその時に,好運の女神が意外なところでほほえんでくれたのである。
行きつけのパーマ屋さんでセット中のある日,大きな私のお腹を案じてくれて「お仕事の方はいかがなさるおつもり?」とおかみさんが聞く。みてくれる人もいないし,この辺で身を引こうと思って……という私に,おかみさんは「そう,でもちょっと待っててごらんなさい,私,心あたりがあるから,話してみてあげるわ」といってくれた。まさか,とあまり期待もせぬまま,それでも,退職は産休あけでも十分間にあうしという気持でいた。
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