ストレスと病気・7
ストレスと内分泌系
松野 進
1
1東京大学医学部付属病院分院第4内科
pp.1141-1144
発行日 1975年11月1日
Published Date 1975/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661917376
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はじめに
現代の社会生活にはさまざまな強制的・不可避的ストレスが多い.例えば,道を歩いていても自動車が恐ろしい速さでそばを通り去り,宣伝広告や交通機関は騒音を引き起こし,通勤時ともなると通勤地獄といわれる混雑に遭遇する.これらはすべてストレスとして作用しているのである.さらに,職場におけるストレスを考えてみても,情緒や感情にさからって奉仕しなければならないサービス業,昼夜の生理的リズムに反して行われる仕事,高度の精神的緊張を要する仕事,時間的圧迫を感じさせる流れ作業などは,それぞれの職種に従事している人々に対してストレスとして作用しているのである.
ストレスとは,生物の体内に生じたひずみの状態を指すのであるが,このひずみが個体に加わると神経系や内分泌系に変調が起こり,種々のストレス病が発生する.ストレス病には狭心症・本態性高血圧症・消化管潰瘍・気管支喘息・下垂体機能不全・その他が含まれている.
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