特集 なぜ看護婦であり続けるのか
人の気持ちに直接かかわれる職
矢野 正子
1
1都立府中病院神経内科
pp.974-978
発行日 1975年10月1日
Published Date 1975/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661917343
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最近入院した若い学生の相手をしていたとき,私は時間の隔たりの大きさにぼう然とさせられた.私がかつて学生時代を過ごしたキャンパスで彼はいま学んでいる.私たちが1年のときに使ったクラスルームは本館のどこだったなどとしゃべっていながら,さて何年前のことかと振り返ってみれば,既に20年近い歳月のかなたに行ってしまった青春を思い出しながら私は語っているのであった.早いもので東京に出てきてからなんと4分の1世紀に近い年月が過ぎ去ろうとしていた.
時は確かに過ぎ去ろうとしていた.しかし,どういうわけだかそんなに長い時間の隔たりがあったと思いながらも,一方では,職業をもっただれもがやっているのと同じようなことを自分もやってきただけのことではないかと思ってしまっている.年ごとに分けて,表向き,裏手の出来事をあげてみようとすれば,確かに様々なことが起きた.が,そのような出来事の間も,仕事に休止のインターバルは置かなかった.そんなわけで,現在,仕事は私の生活の一部になってしまっていて,仕事があることが自然なのであるが,よく人が簡単に口にするように,仕事が生きがいになっているとは必ずしも言い切れない点もある.
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