特集 ナース—その虚像と実像
わたしのみたナース像—ああ,看護婦のオヤジ!/‘看護婦のオヤジの会’とは 看護婦のオヤジからみたナース/病床で再認識したナースの仕事/だれのための,なんのための看護か/ナース自身が探るその虚像と実像
藤田 健次
1
,
芦田 浅巳
1
,
中島 みち
,
伊川 漸
2
,
村田 明子
3
1看護婦のオヤジの会
2北九州医療に発言する市民会議
3福井県立病院看護部
pp.779-787
発行日 1975年8月1日
Published Date 1975/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661917305
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我が家はなぜ‘他人立入禁止’なのか?
我が家は‘他人立入り禁止’である.大抵の客は玄関より中へ入れない.入られると困るのだ.足の踏み場もないほど乱雑な部屋を見られると困るのだ.台所には洗っていない食器の山.冷蔵庫には1か月前の,半分食べた缶詰.天井から下がった洗濯物.1日おきにしか片付けない布団.本の山.2年も磨いていない窓ガラス.草ぼうぼうの庭.クモの巣の張った天井.──まるで“地獄絵図”なのだ.
本当は,きれいに片付けるべきだと思う.そのほうが気持ちがいいに決まっている.だけれども,おびただしい回数の夜勤をする妻と,子守りをする私には,その時間がない.掃除をするくらいの時間があったら,私たちは健康のためにまず眠る.月に何日もない,妻と私が肌を寄せてゆっくり眠る時間にする.次に,もう少し時間があった時は,新聞や本を読む.いくら忙しくっても,ボケた夫婦にはなりたくない.それでも,まだ時間がある時は,子供と一緒にたっぷり遊ぶ.病棟勤務した時の妻が子供と一緒に休日となるのは,月に1回か2回.しかも天候に恵まれ,遊びに出掛けられるのはせいぜい年に1-2回.子供とのスキン・シップは貴重なのだ.かくして,1年じゅう部屋を片付ける時間は見当たらないことになる.
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