特集 なぜ看護婦であり続けるのか
看護婦としての私を支えているものはなんだろうか
長岡 ふさ子
pp.997-999
発行日 1975年10月1日
Published Date 1975/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661917347
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‘楽になりました,楽になりました’
82歳の老人が‘肺がん’の疑いで入院してきた.患者さんの家の職業は花屋さんで,現在は息子さんが継いでいる.小柄な,昔気質の御老人という感じを受けた.家人の話によるとぼけているとのことだが,そのようには思えなかった.
入院後1週間くらいたってからだと思う.‘胸部レントゲン’の指示が医師からあった.看護助手が朝9時半には車いすで82歳のKさんをレントゲン室へ,そしてすぐにでき上がったレントゲン・フイルムを看護助手はその日の責任番のAさんに渡した.Aさんは外の光でそのフイルムを見ながら,シャーカステンのあるところへ持って行った.日勤の看護婦4人がその前に集まった.それは一部を除いて白い,ほとんど全体といっていいほどに白かった.これでは苦しいだろう,と思ったが,朝の申し送りには,このKさんそれほどには取り上げられてはいなかった.多分苦しかったのであろうが我慢強さで,朝,回った看護婦に訴えなかったのではなかろうか.
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