患声患語
精神科看護にカウンセリングの導入を
斉藤 正義
1
1全国精神障害者家族会連合水戸支部
pp.70-71
発行日 1975年1月1日
Published Date 1975/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661917168
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精神病患者はカギのかかった部屋から戸外に出て自由になりたいとか,1日も早く家へ帰りたいとか,いろいろな望みを持って入院生活を送っている.社会と隔絶された病室で患者が何を考え,何を訴えようとしているのか,それを把握して看護に当たることが,看護者の最大の仕事であろうが,そのキーポイントがとかく無視されているのが,現代看護の実態ではないかと考えられる.
精神医学の進歩とともにその治療・看護は絶えず変化しながら長い歴史をたどってきたが,とくに昭和30年以降の薬物療法の進歩は患者の回復への可能性を大きくし,精神医療の方向にも大きな変革をもたらし,どの病院でも社会復帰を目標にして,患者への外部からの働きかけなどが行おれ,レクリェーション療法・作業療法などが取り入れられて,閉鎖療法から開放療法へと大転換がなされた.そのため看護方法も消極策から積極策へと移っていることは時代の流れであるが,一部の病院では旧態依然としたままであることも見逃せない事実であろう.
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