特集 患者にとって看護とは何か
患者から看護婦へ—そこを分かってもらいたい
前田 将男
1
1福井新聞社
pp.20-23
発行日 1975年1月1日
Published Date 1975/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661917158
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看護する者と看護される者
少なくともそれまでは,彼女は一応も二応も合格水準に達した,りっぱな看護人だった.いろんなことによく気付いてくれた.ムダロをたたかない.からだをマメに動かして次々と仕事を処理する.私は,内心ホッとしていた.
彼女というのは,病院の看護婦ではない.つい2,3日前に雇ったばかりの家政婦である.心臓の発作(心筋硬塞)で緊急入院し絶対安静を命ぜられた,ちょうどそのとき,折り悪しく頼みの綱の女房が開腹手術で別の病院へ入院した.私の看護のためには,家政婦を雇う以外に手はなかった.内心ビクビクしながら病室へ来てもらった彼女が,一応も二応も水準以上のりっぱな看護人だったわけだ.私はその幸運を神に感謝した.
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