2色ページ ホメオステーシス入門・7
調節における協調と対抗
畠山 一平
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1北里大学医学部生物物理
pp.782-785
発行日 1974年7月1日
Published Date 1974/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661917060
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生体調節系の多重構造と2元説
かつてニューヨーク一帯に大停電があり,回復までにかなりの時間を費したため,世界の話題となったことがあった.その直後の日本の電力関係者の話では,こんなことは日本ではまず起こり得ないだろうということであった.
しかし,そのためには,多岐多重にわたる自動制御システムが必要で,それが安定に動作するには,多くの困難な課題を解決せねばならず,たとえある程度可能であっても,到底生体のホメオステーシスの比ではないという話が出た.また空づゆのため初夏だというのに各所で上水道の断水騒ぎのあったころ,ある大都市の水道局長との話し合いの機会を持ったことがある.この時,水道管は人間の血管のようなものであるという話になったが,どうも私にはこの比較はあまりぴんとこなかった,水道管は剛体管で血管は弾性管であるという違いは問題にしないとしても,人間の血液循環には,断水に相当した血液供給の完全な途絶ということは,極端な病的状態を除いては考えられないからである.
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