一般医のための救急診療のコツ
不安発作患者の取扱い
小此木 啓吾
1
1慶大精神科
pp.1642-1644
発行日 1971年10月10日
Published Date 1971/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402203875
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発作時の取扱いが患者の方向を左右する
不安発作はしばしば救急診療の対象になる.なぜならばそれは,突発的に,しかも夜間におこりやすく,自律神経性の身体症状を激しく現わし,極度の恐怖・不安を伴うために,本人はもちろん家族・近隣も大騒ぎをして助けを求めるからである.
とくに,予後や経過という点からみて,この発作時にどんな取扱いを受けるかによって.患者の幸・不幸は著しくちがってしまう.しかも,この発作は,不安神経症の起始である場合が多いにもかかわらず,患者はもちろん,その発作を扱う医師もまた,まだその診断を決定するに至らないまま,激しい身体症状を眼前にして救急処置を迫られるという形で,その診療がはじまることが多い.この結果,当然,この起始の段階の処置は,精神科医にではなく,むしろそのすべてが一般医の手に委ねられることになる.
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