2色ページ 人類遺伝学へのさそい・1【新連載】
染色体のはなし(1)
山田 清美
1
1東京医科歯科大学医学部遺伝病研究施設
pp.86-89
発行日 1974年1月1日
Published Date 1974/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661916928
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遺伝の現象と細胞遺伝学
人類遺伝学の中で染色体に関する学問は,細胞遺伝学(Cytogenetics)とよばれる分野である.遺伝の現象を簡単に述べれば,両親のいろいろな形質が子供に伝えられていく現象であり,同一の両親から生まれた兄弟の間でいろいろな相違があることを説明するのが遺伝のしくみである.親から子へと伝えられていく形質は,すべて遺伝子がもつ情報によって発現される.遺伝子は生殖細胞を媒介として親から子へ,子から孫へと伝えられ,多くの遺伝の現象は遺伝子の働きとその行動によって説明することができ,そこにメンデルの法則がある.
細胞遺伝学は,遺伝子のレベルではなくて遺伝子の集合体ともいえる可視的な大きさの染色体のレベルで,遺伝に関連する事象を研究する学問である.
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