看護文芸
詩
長谷川 泉
,
藤井 みどり
,
大戸 貞
,
小久保 道子
,
酒匂 寛子
,
上原 啓子
,
和田 ヒロコ
,
新井 和子
,
多田 貴代
pp.1074-1076
発行日 1972年8月1日
Published Date 1972/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661916414
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立ち竦み
照り映える夕ばえ遙か彼方にみえる一点の鈍い明り青く澄んだ色にそよぐ春の淡い風黒く長い尾をひきひき終バスのイスにとき放した独りの魂が安らぎを覚えた女は夜の暗闇に自室を求めて足をはやめるただそこに待ち受けるものは孤独の他の何であるのだろう……自意識への疑問と自我からの目覚めそして疲労感だけ
海面に真紅をおとしていった春の夕映え西の空を茜色に染めた太陽よ曇りに雷雨にたちむかうことをせよ,せよおまえのなす化粧は女の化粧と何ら変わりのないものなのか偽装の他の何であるというのだろう嵐に吹かれて一瞬にして砕かれるその姿は意志薄弱な女とどこに差をみいだそう偉大でもなんでもないただ一瞬の魔性を秘めているだけ
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