Medical Topics
生理休暇をめぐる諸問題,他
E.M.
pp.80-81
発行日 1971年6月1日
Published Date 1971/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661916062
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最近生理休暇の過保護論が問題になっている。それが過保護であるか否かは別として,労働基準法にある条文そのものにも問題がある。すなわち第67条に,「使用者は,生理日の就業が著しく困難な女子または生理に有害な業務に従事する女子が生理休暇を請求したときは,その者を就業させてはならない」と規定されているが,その日数の制限や医師の診断の必要性にはふれていないところに問題の発端があるように思われる。したがって本人が要求すれば,使用者としてはこれを制限することができない。
月経困難症を医学的にみると,とくに炎症や腫瘍などの病的所見はないが苦痛を訴える機能的なものと,子宮やその周囲臓器の炎症や腫瘍にもとづく器質的なものとがあり,若年者や未婚者には機能性のものが,経産婦や30歳以後には器質性のものが多い。器質性のもののなかでもっとも多いものは,子宮筋腫と子宮内膜症である。婦人科学的にはこれらの大部分は治療可能のものである。機能的のものはいずれは自然に治癒するものが多いが,器質的なものは手術療法などの積極的な治療を要する。就業が困難なほどの強い月経障害は10人に1人前後くらいの程度であろうが,それも適切な治療を受けていないことが多い。
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