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アメリカ航空宇宙局の新技術,他
pp.57
発行日 1971年4月1日
Published Date 1971/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661915995
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人間が月面を歩くことが現実のものとなり,文字どおり宇宙時代ということになった。人間を月に送りこむために,アメリカ航空宇宙局(NASA)の人びとが応用した数多くの新技術は,単にそれだけにとどまらず.医学や医療の面にも多くの波及効果を及ぼしている。
たとえば,ローマン博士が開発した心電図を送信するための小型化した遠隔測定装置は,当初は宇宙飛行士のために作成されたものであった。しかしながら,今では世界中のCCU(心臓ケアユニット)にごく普通の装備としてとりつけられて役だっている。また,眼の動きによって作動するスイッチが開発された。これはロケットの発射時および再突入時に加わる重力の負担をさけるために作られたが,宇宙飛行士たちには不必要なものであった。これは,四肢マヒの患者にとっては便利なものであり、このスイッチを利用して,本のページをめくり,ラジオやテレビのスイッチを入れたり,けしたり,またモーターのついた車いすをあやつったりしている。宇宙飛行士のヘルメットにしても,小児の酸素消費量を測定するために利用されている。このように,宇宙時代の成果はどんどん医療にもとり入れられている。
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