Medical Topics
アジアの人口問題とわが国の現状,他
E.M.
pp.88-89
発行日 1971年1月1日
Published Date 1971/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661915892
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昭和45年10月東京において,第2回国際家族計画連盟西太平洋地域会議が開かれ,あらためて人口問題と家族計画の重要性が認識された。会議に参加したアジア各国の代表者の発言によると,人口問題の実情はそれぞれの国で相当に差異がみられる。1963〜1968年の平均年間自然増加率(%)をみると,たとえばフィリピン3.5,タイ3.1,マレーシア3.0,台湾2.9,インドネシア2.4,香港2.3,パキスタン2.1などとかなり多く,とくに人口5億3千万人をかかえるインドは2.5と高率である。自然増加率が2.5%ということは,もしそのままの率でいけば,28年後に人口は倍増となり,10億をかかえることになってしまうのである。人口の多い国や土地の狭い国では,人口問題はあまりにも深刻である。
家族計画ということばそのものの意味はかなり広いが,家族計画といえばすなわち避妊と考えられるほど,避妊の実施が人口調節に直結してくる。しかし民衆の90%以上が文盲と貧困階級であるようなインドでは,われわれが常識的に知っているような避妊法は,教養面でも経済面でも実施が困難で,男性に対する精管結紮術のような不妊手術が緊急対策となっている。コンドームや経口避妊薬が経済的に負担となるような国も,まだかなり多いのである。
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