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アジアの保健—東南アジアの人口問題と衛生事情
東田 敏夫
1
1関西医科大学公衆衛生学教室
pp.34-43
発行日 1963年1月15日
Published Date 1963/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202622
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はじめに
私は,去る3月から2カ月余り,東南アジアの諸国を視察する機会を得た。ひとくちに,東南アジアといっても,風俗習慣から,政治経済の事情まで,さまざまであり,わずかな観察から,これをものがたることは容易なことではない。
まず,平均気温25℃以上という熱帯地域の暑熱の人間の生理,とくに労働生活にたいする負担は無理できない。またこの地域に特殊なモンスーンは,はげしい雨をともない,多雨地域をつくり,これが主な産業である米作農業の基盤となっている。また植民地時代以来,治水事業のおくれのために,雨期には,しばしば田畑,家屋の流失をくりかえし,アジアの貧困の一因となっている。
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