グラフ
強い連帯の中で—吃音を克服してゆく言友会の活動
田村 シゲル
pp.68-72
発行日 1971年1月1日
Published Date 1971/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661915887
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“団結の力でどもりを克服しよう”
“全国百数十万の吃音(どもり)者を解放しよう”と2つのスローガンを掲げて言友会は発足した。経験した人でないとわからないどもりの悩みそれを仲間の団結で克服しようというのが言友会の主旨である。現在千数百人の会員をもつ言友会は東京に本部をおき、全国各地に支部を設立しさまざまな活動を展開している。日曜日の例会には泊まりがけでくる人など熱心な会員が多い。吃音などの言語障害は他の心身障害に比べて表面に出にくいため,全く一人一人の責任と努力に任されていた。その中で言友会のもつ社会性は大きい。
さる10月25日,新宿会館で東京言友会の文化祭が盛大に行なわれた。普段の活動の成果を出しあう文化祭は夏の合宿と並んで主な年中行事のひとつだ。当日は一般も合わせて200名以上の参加者があつた。文化祭の模様は特に,弁論の部ではどもりながらも熱演する出場者に,会員たちの時にはひやかしたり笑ったりしながらの応援ぶりが印象的だった。そして中でも圧巻だったのが演劇部による“三年寝太郎”だ。観客の中に“おかしいなあ,あいつはいつもひどいどもりなのに”というつぶやきも聞こえるほど。最後に高橋庄治先生の講演“私の歩んだ道から”は先生ご自身のどもり克服の経験を通して,どもり克服には強い意志が必要だという話で参加者に深い感動を与えたようだった。
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