続MSWの目
再起をはかるアル中の夫
中島 さつき
pp.64
発行日 1971年1月1日
Published Date 1971/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661915885
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Tさん(37歳)の家は警察の裏側の道の奥にある。内縁の妻(34歳),長女(小学5年),次女(3年)と同じ棟に妻の母が別居している。
A保健所のMSW室に,警察で教えてもらったと妻が入ってきた。夫が中小企業の会社に勤めているが,現在は2か月近く休職中で,アル中で困っている。家で子どもたちや隣のおばあちゃんと話していると,「自分のことをいっている」といって怒りだしたり,「酒を買ってこい」とどなって子どもを叱ったりする。夜は酒を飲んで「殺してやる」と妻を追かけまわす。なん度も交番のおまわりさんをよんだが,夫婦喧嘩だとして取り扱ってくれない。危ないので食器や刃物はかくして生活している。勤めには全然いかないし,今日も朝から酒を飲んでいる。金目のものはなんでも質に入れては飲んできてしまう。これまでなん度死のうと思ったかしれない。結婚してまもなく「養子に入ったのは楽しんで飲めるからだ」といっているのを聞いてがっかりした。結婚3年目から窃盗で3回ほど刑務所に入ったことがある。なんとか入院させるなりしてたちなおらせたい……という訴えであった。
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