講座ICU・6
救急蘇生法のコツ
島貫 洋利
1
,
順天堂大学医学部付属順天堂医院看護部
1順天堂大学医学部麻酔科
pp.60-63
発行日 1970年9月1日
Published Date 1970/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661915013
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心停止の判断
急性心停止とは,心臓の動きが完全にとまった状態をいうのが本当かもしれないが,臨床的には心拍の停止が問題となろう。すなわち脈拍をふれず心臓から有効な血液の拍出がないと判断したときに,心停止としてただちに救急処置に移るのが正しい。
具体的には,いままでよかった患者の容態が急に悪化して,蒼白またはチアノーゼとなり,呼んでも答えず意識が急速に消失し,脈拍をみるとふれない。こうした状態が臨床的にいう急性心停止である。このさい呼吸もとまるが,呼吸と循環のどちらが先に停止したかは,救急処置を行なううえで問題にならない。ショックの場合は橈骨動脈で脈拍がふれなくても,頸動脈や股動脈に弱いながらもプルスをふれることができる。この点が急性心停止と異なるところで,必ず大きい動脈をふれてみる習慣が必要である。
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