特集 白衣
白衣雑感—正しく着ることの美しさ
大嶽 康子
1
1武蔵野赤十字病院看護部
pp.28-29
発行日 1970年4月1日
Published Date 1970/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661914833
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日赤の看護婦養成所へ入ったその日に4枚ほどの白衣が渡された。体の小さな私はその夜一晩かかって白衣にあげをしたのだが,「明日からすぐに病室へ出るのでもないのに,どうして白衣を着なければならないのかしら。クラスの間だけは私服を着せてくれないかな」と,はじめて故郷を離れた淋しさも手伝って,修道院へでも閉じこめられたようなわびしさを感じたものだった。
当時の白衣は,つめ衿で袖つけのところのふくらんだ,ひだの深い,裾長の服だった。ベルトはキャラコ幅を二つに切ったのを細くたたみ,前でとめ金でとめていた。帽子は菊の御紋を型どったという16ひだのあるのりのきいた白カンレー沙を斜めに延ばし,ひだに丸みをつけながら折って作る芸術作品のような独得の帽子であった。
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