グラビア
女性12章—魅惑
横山 正次
pp.113-115
発行日 1969年11月1日
Published Date 1969/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661914691
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げに人の心ほどとうえ難きはなし。まして女房の末の契りなどいい、離しませぬ離れませぬ鶴ノ介さま鶴さまの、切なの吐息におぼえず波立ちたる男心の浅はかさ。
さて、手なべ下げたりして参りしかの女房の年月へたるは、鶴さまのいつしかお前さんになどなり風情ありげな様もなし。そなたが愛しゅうてならぬ離すまいぞといえる己が身の不明を恥じ入ることしばし。あれ鈴虫がなどいいし紅刷きし口元の油虫追いかけつつ畜生畜生といえるおぞましさ。
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