医学と看護
膀胱癌に対する膀胱全摘除術—遠隔成績の検討
鈴木 騏一
1
,
加藤 正和
1
,
小野寺 豊
1
,
黒沢 昌也
1
,
菅原 奎二
1
,
宮田 宏洋
2
1東北大学医学部泌尿器科学
2東北大学医学部大学院
pp.47-50
発行日 1968年9月1日
Published Date 1968/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661914116
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1.はじめに
膀胱癌は他臓器の癌腫と異なり,多発性の傾向を有し,また再発あるいは新生傾向が強く,さらに高率に転移をきたす腫瘍である。したがってできるだけ早期に膀胱全摘除術を行なうのが理想的である。しかし現状においては膀胱全摘除術を行なうことに対して否定的な意見を述べるものも多い。すなわち全摘除術を行なった場合には必ず尿路変更が行なわれるが,現在施行されている方法では血液生化学的不均衡,あるいは逆行性感染による腎障害などがおこり,保存療法を行なった場合にみられる再発の危険よりも,尿路変更による障害の方が大きいとの理由にもとづいている。もちろん早期の癌であれば保存的療法も可能であり私どももこのような症例に対しては膀胱部分切除術を施行しているが,実際には多発性かあるいは浸潤高度で全摘除術を施行する以外に,根治的療法の行ない得ない症例もかなり多く,私どもの教室でも43年3月までに全摘除術を90例に施行している。
よって今回はこれら症例の予後について観察したのでその結果について述べる。
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