Nursing Study
骨髄腫患者の看護
児玉 美江
1
,
畠中 ミヨ子
1
,
脇山 文恵
1
,
渡辺 比佐美
1
1国立療養所福岡東病院
pp.98-101
発行日 1968年4月1日
Published Date 1968/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661913957
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はじめに
最近私たちは,66歳の女性の骨髄腫患者を観察,看護する機会を得た。骨髄腫は比較的まれな疾患である。最近の医学の進歩により,患者の発見,報告数も増加し,本症の重要性も増しつつあるが,骨髄腫の看護経験についての発表はほとんどみられないので,ここに本症例を紹介するとともに,その看護面について若干述べてみたいと思う。
骨髄腫とは,全身の骨髄に結節を多数形成する骨髄組織から生ずる悪性腫瘍で,40〜70歳の男性に多く,身体諸所におこる神経痛様疼痛,著明な貧血,赤血球沈降速度の高度亢進,血中の異常高グロブリン値,尿中ベンスージョーンズ蛋白体などを主症状とし,疼痛,貧血のため漸次全身衰弱をきたして悪液質に陥り,あるいは肺炎などの合併症をおこして死亡するといわれている。また骨組織が侵蝕性に破壊されるため,いわゆる病的骨折をおこしやすく,出血傾向,その他種々の症状を呈し患者の苦痛は大である。最近,副腎皮質ホルモン製剤,抗癌剤などの使用により,かなりの期間延命するといわれている。
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