疫学
骨髄腫
谷内 昭
1
,
赤保内 良和
2
1札医大・第1内科
2札医大・内科
pp.510-512
発行日 1972年4月10日
Published Date 1972/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402204060
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診断技術の進歩と症例数の増加
多発性骨髄腫は約10年前までは比較的まれな疾患とされていたが,抗体産生細胞の腫瘍性病変として特に免疫グロブリン異常をめぐる問題が注目され,しばしば諸学会のテーマにとり上げられ,臨床医の間にも本症に対する関心が非常に高まった.同時にセルローズアセテート膜電気泳動や免疫電気泳動が昭和37年頃から普及し始め,全国各地域病院および臨床検査センターなどで血清蛋白の分析が容易に行なわれるようになり,本症の発見率が著しく増加した.それゆえ多数の症例が報告され今日では本症が非常に増加しているかのごとき印象を与えている.
このような発見率や診断正確度の上昇が統計上死亡総数の増加に反映することは,かつて肺癌や膵癌の場合にもみられた現象であるが,本症についてもその点がすでに指摘されており,真の増加があるかどうか疑問視されている1)2).
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