脳のはなし・12
反射力学
千葉 康則
1
1法政大学
pp.82-83
発行日 1968年3月1日
Published Date 1968/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661913922
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〔12〕反射力学
無数の中からえらばれる刺激
私は神経機能を反射を中心として説明してきた。しかし,こういう反射論に対しては当然のことながら多くの反論がある。いわゆる唯心論,つまり,全体的あるいは部分的に心を一次的なものとして人間を説明しようとする考え方が最も常識的な反論であることはいうまでもないが,これに対しては反射論の立場から必要な批判をしてきたつもりである。
しかし,人間行動を反射機能として説明する考え方は,もともと一種のまとまりを持った人間行動を無数の〈刺激→反射〉に分解してしまうものである,という反論もある。たしかに,反射論は人間行動をばらばらの要素に分解して考えるものと思われるかもしれない。しかし,これは初期の単純な反射論を念頭においているからである。
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