医学と看護10月のテーマ
頸椎外科
岡本 吉正
1
1国立岡山病院整形外科医
pp.46-50
発行日 1966年10月1日
Published Date 1966/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661912899
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
1.一般的事項
頸椎は頭蓋および胸廓(胸椎)という重く可動性の少ない部分を連結している,相当に可動性のある,そして傷つきやすい構造をもった部分で,このところにメスを加える機会は,ここ5〜6年で非常に多くなってきている。
頸椎の高さにおける脊髄は,上部は延髄と連なり,下部は胸髄に移行する。そして上部頸椎は呼吸に関係のある神経(横隔膜神経)が出ており,中部・下部からは,上肢に行く神経が出ている。脊髄自身は,その各々の部分以下の,運動・知覚の神経の伝導路となっていて,ある部分の全損傷は,その部分以下の運動・知覚の全麻痺をきたす。したがって上部頸椎の損傷がおこれば,呼吸麻痺と頸部以下の全麻痺をきたして重大な状態となり,救急処置が必要である。中部・下部頸椎損傷の場合には,上肢以下の全麻痺がくる。この際には,呼吸は,横隔膜のみで行なわれ,胸廓で行なわれないが,前者が二次的な反応による麻痺さえおこさなければ,生命に対する直接の危険はすぐにはない。しかし,いずれにしても危険なそして重大な状態であることは間違いない。
Copyright © 1966, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.