Medical Topics
やせ薬の副作用,他
I
pp.92-93
発行日 1964年3月1日
Published Date 1964/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661912196
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世の中が平和となりご婦人方の美容に対する関心ははなはだ強いとみえて,最近いわゆるやせ薬による副作用が目だってきている。症状のひどい場合にもなかなか診断がつかず,また軽い場合には単なるノイローゼと考えられる場合も多いと思う。やせ薬の大部分はそのおもな成分として甲状腺末をふくみ,甲状腺ホルモンの代謝亢進作用によりやせるわけであるが,過剰な投与によっては甲状腺機能亢進症と同じような症状を示す。すなわち動悸,発汗,手のふるえ,不眠,下痢などであるが一般に甲状腺腫はない。眼球の突出もないがいわゆる目がギラギラしているという印象を与える。基礎代謝率は当然亢進しており症状のつよいときはかなり高く⊕50%〜⊕60%に及ぶ。PBI(蛋白結合沃度)も甲状腺ホルモンを投与しているのだから当然高くなる。
しかしバセドウ氏病ともっともことなる検査所見は放射性ヨード摂取率が逆にはなはだ低くなることである。これは外から甲状腺ホルモンを供給するため過剰のホルモンが脳下垂体に働いて甲状腺刺激ホルモンの分泌をおさえ,それに伴って甲状腺のI131摂取率は低くなる。バセドウ氏病のときはこの機能がおかされているためI131摂取率は高い。このような検査によって鑑別はできるがなかなかむずかしいこともある。やせ薬をのんでいるということをはずかしがって,なかなか発表されない方も多い。
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