グラビヤ
光凝固装置—東大眼科の新しい手術装置
清水 弘一
1
1東京大学眼科
pp.73-76
発行日 1966年5月1日
Published Date 1966/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661912739
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眼科の手術といえば,外眼部とか前眼部に対するものがほとんどで,結膜や眼筋(斜視),角膜(異物,角膜移植),虹彩(緑内障),水晶体(白内障)などへの手術はごく普通におこなわれているのに対し,視力にとって重要な意味を持ち,眼科臨床では非常に大きい位置を占める眼底への手術はほとんどおこなわれていませんでした。網膜剥離に対するジアテルミー手術が眼底に対しての唯一の手術であるといってよかったのですが,角膜を剥離し,眼球の裏側から強膜を通して手術をするこの方法は,手技が複雑な上に眼底のどの部分を手術しているのかを確認するために,検眼鏡による眼底検査を手術の合い間に繰り返さなければならないという事情もあり,時間もかかり眼科では「むつかしい」手術の第1にあげられていました。
眼科の病院は,皮膚科のそれと同じように,疾患そのものが直接観察可能であるという特長を持っており,眼底の疾患も検眼鏡で把握可能なわけですから,この病変を治療するのに,眼球の裏側からというようなまわりくどい方法をとらず光を使ったら簡単確実に手術できるのではないかという考えからできたのが,このグラビヤにある光凝固装置なのです。敗戦直後のドイツでこの研究がはじめられ,はじめは太陽光線,次に炭素アーク燈を光源として使っていましたが,高圧クセノンランプという強力な光源が開発され,製品化が完成しました。
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