特集 看護婦の勤務と生活の合理化
第1部 職場の能率をあげるために
Ⅰ職場環境をどう整えるか
改善と合理化ということ
木幡 兵吾郎
1
1訓練技術協会
pp.13,14-16
発行日 1961年6月15日
Published Date 1961/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661912517
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最近の私達の生活は以前に較べて非常に合理化されたといわれている。とくに家庭の主婦の場合に著しい。サラリーマンの家庭などは,寝ていて御飯の炊けるオートマティックの電気がまや,インスタント・ブームの産物であるインスタントコーヒーあり,味噌汁あり,即席シルコやラーメンがある。家庭の仕事をするには電気掃除器あり,電気洗濯機があつて,仕事の単純化,規格化は進む一方である。もちろんこのように私達の食事がインスタント化され,仕事が能率化されることは結構なことであるが,あまりその面だけを考えると生活の潤いがなくなるような気さえするのである。
先日私の友人が6カ月にわたるアメリカの大学の講座を受けて帰国したが,私と会つての最初の言葉は「ビーフステーキを食べに行こう。」私はいささか驚いて,「君は6カ月も米国で肉を食べただろうに」というと「もちろん,あらゆる物を食べたが,アメリカの食事はカロリーを食つてるだけで,料理を食べてるのではない。」まつたくうまいことをいうと感心したが,インスタント食品も電気器具類も現代においては欠くべからざるものであるが,それによつて生み出された,あるいは節約された時間を他の方面に最も有効に活用しなければ,真の意味の合理化に合致しないと思う。
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