見のがされやすい実務の知識
病棟での合理化
上林 三郎
1
1聖路加国際病院営繕課
pp.64
発行日 1969年7月1日
Published Date 1969/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541203689
- 有料閲覧
- 文献概要
病院の近代化が進み,そろそろ電算機の導入も考えられる段階までになった反面,病棟内を見まわすと,まだまだ前近代的な不合理な面が数多いのに気がつく.病棟内で使用される器具なども,もっと標準化されてもよいと思われるし,また,しなくては保守管理にもたいへん不経済である.
私の病院でも,患者運搬車・食事運搬車・ボンベ運搬車などを除き,病棟内で使用される回診車類の種類だけでも34種類の多きに達し,その総数たるや130台という数にのぼっている.しかも,いまだに新規の注文が月に1台くらいはある状態である.修理をするにもキャスターの大きさがまちまちなので,何種類かのキャスターのストックが必要となるし,特別なサイズのものは他の病棟へ融通がきかず,全く困ったものである.これは,各科・各病棟が自分のところの事情にあわせてその場その場で決めて注文し,主任が変わればその人の意見でまた違った物を,というようになって,結局このように多種類になったものと思われる.特にこのような回診車の中で不思議なのは,下段が金アミの取り外しのきく棚になっているが,いったい何のために金アミになっているのか,かいもく理由がわからず,ただなんとなく金アミにしているらしく,大多数の人に質問してもその理由がはっきりしない.おそらく,ほこりのたまるのを防ぐくらいの意味ではないかと思われる.
Copyright © 1969, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.