精神身体医学講座・5
心身症の見かた
前田 重治
1
1九州大学医学部心療内科
pp.84-87
発行日 1964年9月1日
Published Date 1964/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661912376
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今回は,心身症の正しい見かたについてのべます。特殊なばあいをのぞいて,ナースが直接に患者を診断するということはないわけですが,心身症の正しい看護を行なうには,医師がどのようにして診察し,検査し,面接を行なっているかということをよく知っておくことが必要であるとおもわれます。また一方,そこに精神身体医学というものを理解していただく上に重要ないくつかの問題が横たわっています。
心身症の位置
心身症を正しく見てゆくには,その近接した病気について正しく知っておく必要があります。今日,ノイローゼというコトバが一般化していますが,それにつれて,ノイローゼと精神病とが混同されるだけでなく,心理的な色彩の濃い体の病気つまり,心身症までが精神病とまちがえられることも少なくないようです。心身症とノイローゼの区別は,今日まだいろいろと問題の多いところですが,一応図式的にまとめてみますと第1図のようになります。実際にはこのようにきれいに分けられるものではなく,右の方にゆくほど身体的な因子がつよく影響するといった意味のものです。身体疾患の患者の中にも,二次的に心身医学的な取りあつかいを必要とする者があることは前にものべたとおりです。また器官神経症(心臓神経症,胃神経症など)というのは,神経症の中でも体の症状を主とするもので,身体的因子がつよく作用していると考えられるものです。
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