特集 看護制度その問題点と動き
看護制度改訂と医労協の立場
大山 正夫
1
1医労協調査部
pp.38-41
発行日 1964年9月1日
Published Date 1964/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661912357
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ワンマンカーと合理化
さいきんの交通地ごくはすさまじいものだが,その中でバス会社はどんどんワンマンカー(車掌を廃止したバス)にきりかえている。そこでは運転手がチャップリンのモダンタイムスよろしく,乗客の入れる小銭を横眼でみながら釣銭をわたしたり,前後左右の安全を確認しドアをしめ発車しながら,頭からかけたマイクに向って停留所名を告げる。そして神風タクシーのように車の雑とうする中を縫ってはしりまわる。この運転手はまさしく2人分の仕事をさせられているが,賃金は決してそうはならない。乗客はベルトコンベアよろしく,前のドアから後のドアヘ一方通行というしくみ。もはや子供や老人の上げ降しやふみきりなどに安全の手は差しのべられない。これはいうまでもなく,女子車掌のなり手が少なくなったためとられた会社の合理化政策である。この例が示すように現代の合理化は従業員の労働過重,利用者には不便と危険,会社には利潤の増大という法則をもっている。
こんにち看護制度改訂をとなえる多くのこえはどんなもっともらしい理由がつけられようとも本質は結局,このワンマンカーと同じく看護婦不足という事態のまえに,看護婦のいない(少くてすむ)あるいはレベルダウンの病院,診療所にしようとする医療の合理化政策に外ならない。
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