特集 看護制度その問題点と動き
看護制度改善の根拠になるもの
湯槇 ます
1
1東京大学
pp.20-25
発行日 1964年9月1日
Published Date 1964/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661912350
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はじめに
看護婦不足を契機として看護制度そのものの問題点が浮きぼりにされ,強く改善を要望する声が高まってきている。しかしながら現段階では事態を推し進めていけるだけの具体性をもった対策が立てられているとはいえない。いろいろなグループの討議や発表された考察などからその原因を考えると,第1に最も具体的に改善策を打ち出すことを迫られている立場にある医師や看護婦が,日々人員不足からくる多くの危険性と直面していながら,両者とも各自の立場を守ろうとする姿勢から一歩もでていないことがあげられる。社会のニードに対応した専門職としてのあり方という積極的なとり組み方に欠けているのである。
第2に多くの意見は,科学的論拠という点で人々を納得させるだけのデータを持っていないことがあげられる。そこで現在および将来の看護制度のあり方や需給問題を考えるに当り,何を判断の根拠にすればよいのかに焦点をあわせて日頃思うことをまとめてみたいと考える。
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