特集 小児病院と看護
病院における母と子の問題—マターナルデプライベイション
小嶋 謙四郎
1
1早稲田大学文学部
pp.24-27
発行日 1964年8月1日
Published Date 1964/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661912322
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子どもが病気になって入院をしたときに,入院ということが,子どもにとってどういうできごとになるのか,いろいろの問題があると思いますが,なかでも,一番大きなことは「お母さんと離れる」ということではないでしょうか。
ベイクウインによれば,子どもたちは,わずか2・3週間,母親から離されていても,その行動に著明な変化を示す,といっています。たとえば,他人に対する過度の依存,敵意,引っこみ思案,みさかいのないなれなれしさ,面会に来た両親への敵意,両親のもってきた玩具をこわすなどは,その一面です。また,おもらし,よごす,はいまわる,ことばをいわない,赤ちゃんのたべものを好んだり哺乳びんをほしがったりする,指しゃぶり,マスターベーションをする子もいます。また,抑うつ,不安,興奮をしめす子どももいます。さらに,人間より玩具や事物に興味がかわってしまったり,母親に対して無感動になったり,極端にくっついたりする子もいます。
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