Medical Topics
抗白血病剤による自己免疫性血液疾患の治療,他
R・T
pp.84-85
発行日 1964年2月1日
Published Date 1964/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661912160
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後天性溶血性貧血,顆粒球減少症,血小板減少性紫斑病などの自己免疫性血液疾患は,それぞれ赤血球,白血球,血小板に対する自己抗体により起こる疾患で,これらに対する治療としては抗原抗体反応を抑制する副腎皮質ステロイドが広く使われている。しかし,副腎皮質ステロイドは,効果が一時的で,減量または中止すると再び悪化したり,また副作用のために使用困難となることも少なくない。それゆえ副作用が少なく,しかもより積極的に自己抗体の産生を抑制する薬剤があれば自己免疫性血液疾患の治療によりすぐれた効果が期待できるはずである。
抗白血病剤である6・メルカプトリン(6・MP)は,主として急性骨髄性白血病の治療に使われ,骨髄の幼若白血球の減少にきわめて有効であるとされている。Dameshekらは,6・MPのこの作用を利用して,6・MPによって自己免疫性血液疾患の際に,抗体産生を行なっている細胞を減少させて,抗体産生を抑制できるのではないかと考えた。しかし,6・MPは,その副作用として貧血,顆粒球減少症,血少板減少性紫斑病,汎骨髄癆などをおこすことが知られており,原因は別としても類似の病像を呈している自己免疫性血液疾患に使うことは考えられもしなかったことである。Dameshekらは,自己免疫性後天性溶血上性貧血患者に6・MPを使用し,血小板減少は認めたものの溶血性貧血の治療には成功した。
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