医学講座
最近問題となっている血液疾患
高橋 隆一
1
1慶応義塾大学医学部三方内科
pp.49-51
発行日 1963年11月1日
Published Date 1963/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661912063
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
最近問題になっている血液疾患には,種々の意味で種々の血液疾患が含まれている。すなわち,1)発病頻度が増加したり,2)原因,治療などに関して興味ある事実が明らかになったり,3)最近あらたに報告されたりなどの点で,多くの血液疾患が問題となっている。限られた紙数でそのすべてについて述べることは困難なので,ここでは最近血液学関係の学会で特に問題となっているいくつかの疾患について述べることにする。
1.発病頻度が増加した疾患
a)白血病
発病頻度が増加した点でもっとも問題となっている血液疾患は,白血病である。増加したことには医師の関心が高まり,診断技術が向上したことによる発見率の増加もあるが,統計をみると明らかに増加していることがわかる。わが国における白血病患者数の統計をみると,昭和22年ごろまでは年30ないし40名であったが,昭和25年ごろよりしだいに増加を示し,昭和32年には500名以上に増加している。さらに厚生省の死亡統計により,白血病死亡者の対人口10万あたりの死亡率をみると,最近10年間は特に急速に増加し,昭和31年度は,昭和22,23年度の2倍以上にも達している。かかる白血病患者増加の傾向は,わが国のみならず全世界に共通の現象であり,その原因の研究が広く行なわれつつある。
Copyright © 1963, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.