FOR STUDENTS 看護研究学会の印象
一般社会へのPRが不足—分科会の研究発表をきいて
原 八重子
1
1秋田赤十字病院高等看護学院
pp.66
発行日 1963年1月1日
Published Date 1963/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661911832
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肌寒さを感じさせる日だった。朝早くから列を作って入場を待っているにはあまりに風が冷たすぎ,看護婦さんたちは本当につらい思いをしたことだろう。それよりも心まで冷たくなり,秋田の町をいやに思いはせぬかと,いらぬ恐れを抱いたほどだった。
ここ県民会館は第1分科会場つまり外科系の研究学会であって,次々に各県からすばらしい研究発表がなされ,また質疑応答が行なわれた。その中で非常にうれしく思ったことがあった。それは“外科病棟における学生の指導”に関するもので,私はそれを通して看護婦さんたちが真剣に学生の指導ということを研究してくださっているということを知り何かしら明るさを投げかけられたようで,非常な興奮を覚えたほだった。同時にうらやましいという気持ちが強まった。私たちの病院は看護婦が少ないので,学生がある程度労働力提供という点がみうけられ,実習場においては,臨床実習指導者というはっきりした形の人はおらず,(有資格者はいるが),私たちはいつも自治会を通じて意見(不満かもしれない)をのべるのだが,おいそれと実習態勢は変えることもできない。こんな中にいる自分にとって,この研究発表を開くことは劣等を大にするかのようだったが,考えていくうちに,この学会を機会にたくさんの病院ではっきりと指導計画を作成し,学生の立場を認めてくれればよいということになり,なんだかいいしれぬ喜びに満たされた。
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