特集 貧血
主婦に多い貧血
古谷 博
1
1東大産婦人科
pp.42-44
発行日 1963年1月1日
Published Date 1963/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661911824
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1.はじめに
毎日忙しく家事に従事している主婦は,多少の疲労や体の不調があっても,多忙にまぎれてあまりそれを気にする余裕がなかったり,また少しは仕事のやりくりなどをして休息をとることもできるので,とかく医師を訪れて診察をうけることを憶劫にするきらいがないでもない。したがって勤務している人や学生生徒のように,定期的に検診をうける機会が少ないので,いろいろな異常があっても見のがされていたり,たとえ異常がみつけられても,たいしたことがないと十分に通院することもむずかしいようである。
しかし最近のように新聞,雑誌,あるいはラジオ,テレビなどを通じて,衛生思想がひろく理解されるようになってくると,何か症状があって心配になると,早目に医師を訪れるようになったことは非常に喜ばしい傾向である。産婦人科を訪れる人たちはいうまでもなくその方の主訴があるので来るのであるが,患者を多く見ていると,自分があまり気づいていない症状として貧血が相当に見られることが多い。そして疲れやすい,体がだるいめまいがするなどといってビタミン剤などをのんでる人が多いようである。婦人は化粧をしているので周囲の人にはなかなかわかりにくいし,本人も貧血がじょじょに進行するので,体がそれに順応し,非常につよい貧血にならない限り,あまりその自覚をしないようである。
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