特集 貧血
貧血の原因となるもの
前川 正
1
1群馬大学医学部内科
pp.39-42
発行日 1963年1月1日
Published Date 1963/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661911823
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1.貧血の定義
貧血とは赤血球数あるいは血色素量が正常値以下に減少した状態である。日常臨床で赤血球数が500万とか450万とかいうのは,1立方mmという小さな容積の血液中の数を意味している。身体全体にある血液の総量を正確に測定することは困難であるが,循環血液量はエバンス青という色素やCr51などで標識きれた赤血球の一定量を静脈注射し,その薄まり方と,ヘマトクリットから計算することができる。この値には個体差はあるが,平均して男では体重1kg当たり80ml,女ではそねよりやや低い値となる。たとえば60kgの体重の男子では60×80=4,800mlの循環血液量を持つことになる。この人が正常人で,1立方mm内に500万の赤血球があるとすれば,1mlの中には500万×1000個の赤血球があることになり,したがって循環赤血球数は500万×100×4800=24×1012個となる。
血色素は正常男子では100mlの血液中に16gぐらいあるので循環血色素量は16×48=768gということになる。ちなみに,血色素量は%で表現されることもある。これは正常人の持つ血色素量を100%とした場合の比率を示している。たとえば血色素量70%というのは,正常人の7割程度の血色素があることを意味する。したがって100%が16g/dlであるとすれば,70%は11.2g/dlということになる。
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