講座
麻酔の看護
山本 亨
1
1日本大学
pp.30-33
発行日 1962年11月1日
Published Date 1962/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661911773
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麻酔とは
麻酔の看護をする際には,まず麻酔とは何か,麻酔医とは何を専門にする医師かを知らなくてはならないので,最初に現代的な麻酔学の発達と役割を簡単にのべよう。
手術のときの痛みをできるだけおさえるために,昔からいろいろの方法が試みられてきた。わが国でもマンダラゲが鎮痛,鎮痙剤として外科手術に応用されたらしい。エーテルがアメリカのボストンで公開手術に使われたのが1846年,イギリスのヴィクトリア女王の無痛分娩がクロロフォルム麻酔で行なわれたのが1853年,この頃よりそろそろ現代麻酔学の基礎ができはじめた。しかしこの頃の麻酔の目的は,ただ手術のとき患者が痛くないようにすることが主であった。わが国では約10年前までこのような考え方が続き,麻酔は外科のちょっとした補助的な一方法でしかなかった。
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