特集 医療紛争の予防
手術・麻酔関係の医療過誤
山本 亨
1
,
緒方 博丸
1
1日本大学・麻酔科学教室
pp.19-23
発行日 1969年9月1日
Published Date 1969/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541203724
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手術・麻酔関係過誤の発生因子
医学が各専門分野に細分化し,また手術を安全にするべき麻酔学が広まるにつれて,かえって手術や麻酔関係の過誤による医事紛争を耳にするようになった.その理由には次のような因子が考えられる.
(1)麻酔の技術が高まるにつれて,従来は行なうことのできなかったような大規模な長時間の手術,あるいは非常に全身状態の悪い患者の手術,新生児での手術などが多数行なわれるようになった.(2)患者や医師の希望で,全身麻酔の絶対数が増した.(3)よい麻酔器や麻酔剤が出まわるにつれて,麻酔学の知識や技術をじゅうぶん身につけていない者が,安易な気持で麻酔をかけるようになった.(4)麻酔そのものが手術関係の死亡事故,その他の重篤な事故に直接関連しうることを一般の人々が知りはじめ,自動車事故の経験から,医療事故が起こった場合にも,すぐ訴訟に持ちこまれるようになった.(5)医原性の病態による合併症の発生が増した.
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