特集 病室の物品管理
食物と見舞品の管理—(小児科の場合)
小池 百合子
1
1日赤中央病院小児科
pp.41-43
発行日 1962年4月15日
Published Date 1962/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661911604
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病児に対する食物や見舞品の管理をどのようにするかと問われましても,私ども小児病棟に働らくナースにとりましては,なかなかむずかしい大きな問題の一つでありますと同時にまた大変こまっております問題点ではないかと思います。一口に小児といいましても,その問題点の最も多く含まれておりますのは申すまでもない最も大切な精神発達の人格形成期にあります幼児および低学年の児童を扱かうのに難事が多いのてはないでしょうか。今ここでは母親とともにおります個室の患児は別といたし大広間に5人10人といっしょに収容しております患児の状態をそのままのべてみますと,まずだれでもが病気見舞といえぼ第一に先様は何を喜ばれるかしらと,一考され,食品が良いか,それとも眺めて少しでも病床の身をなぐさめられる物は何かとその人を考え病状を思い色々に考慮されてお見舞されると思います。この場合大人と異なる小供にはマア何か喜こびそうなおもちゃでもという事に多くはなるのではないでしょうか。病室では家庭環境の千差万別に育てられている子供の集まりであります。その上,明けても暮れても変化の少ない狭いベットの上の生活が子供の全部であり毎日です。この子供たちには,現在自分の家の生活状態がどのようであろうと,人の持ってきます物はなんでも自分もほしい,人がおいしそうに食べているものは自分の病気に悪いからなんて考えてがまんできないのがこの年令にあります子供たちの共通心理ではないかと思います。
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