予防接種の話
ジフテリアの予防と治療
中溝 保三
1
1都立荏原病院伝染科
pp.53-56
発行日 1961年9月15日
Published Date 1961/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661911476
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法定伝染病のうちでジフテリアは赤痢に次いで多くの患者が届出されており,昭和34年の統計では赤痢85,695名に対して,ジフテリアは17,936名である。昭和35年は多少患者が減少して14,898名になつている。わが国のジフテリア患者数と死者数とを年次的にながめてみると第1表にあるように本症の流行は,昭和19年に10万人に近い大流行があつてから急激に減少して来たが,昭和27年が9,000人以下になつたのが頂点で,それからじわじわと上昇のカーブをえがいている。ジフテリアの流行,予防接種,それに治療については最近いろいろの問題が提起されているので,以下それらについて簡単に解明を試みてみたい。
1.ジフテリア罹患年齢の高齢化
近頃の目立つたジフテリア流行の特徴として,この病気にかかる子供が年少児よりも年長児に多い事実をあげなければならない。年度別にもつとも高い罹患率を示した年齢をとつてみると,昭和24年 1歳 27年 2歳 29年 4歳 31年 5歳 33年 7歳 となる。
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